てんかんとその診療について

てんかんとは

てんかんのある人は約100人に一人と言われており、乳幼児から高齢者まで患者数の多い疾患です。てんかんの患者さんは日本全国でおおよそ100万人と推定されていますが、一生の間に1回あるいは数回だけしか発作をおこさないようなてんかん周辺群と呼ばれる方も含めると、その数は人口の5%にもなると言われています。

てんかん発作は、大脳の神経細胞(ニューロン)の活動が突然乱れることによっておきます。ほとんどのてんかん発作は2~3分以内に収まり、特に症状を残しません。発作の間は、気持ち悪さを感じたり、意識を失ったり、手足のけいれんを起こしたりすることがあります。発作の症状は患者さんによってさまざまです。

てんかんは、詳しい問診と脳波、MRI検査によって診断されますが、診断が難しいことも珍しくありません。遺伝子の異常や脳の形成障害、頭部外傷、脳梗塞、感染症など、てんかんの原因はさまざまですが、原因が分からないものが多いのもてんかんの特徴です。最近では人口の高齢化に伴い、脳血管障害や認知症に関連する高齢者のてんかんが増えています。

詳細については、日本てんかん協会などでも紹介しています。

日本てんかん協会

てんかんの診療

問診

どのような発作があったか、詳しくお話を聞かせていただきます。問診はてんかんの診断に最も重要な部分となります。発作のことをよく覚えておられない患者さんもいらっしゃいます。発作をおこされた患者さんだけでなく、発作を目撃したご家族といっしょに受診することをお薦めします。

検査

脳波とMRIが最も基本的な検査となります。脳波では、てんかんに特徴的な結果を得るために、睡眠中の記録をとったり、過呼吸やストロボの光刺激などの負荷をかけたりします。MRIはてんかんの原因となる病変の有無を調べるために行います。どちらの検査にも異常が見られないこともしばしばあります。

治療

問診と検査結果をもとにてんかんを診断します。てんかんの治療には、(1)抗てんかん薬などの薬物治療、(2)外科治療、(3)食事療法などがあります。抗てんかん薬は、発作の症状やてんかん以外の持病への影響、他に服用している薬との飲み合わせなども考慮して選択されます。患者さんにあった適切な種類の薬を服用できれば、約80%の患者さんが薬物治療によって発作が出なくなります。抗てんかん薬を続けても発作が続く患者さんには、外科治療や食事療法が行われることがあります。

詳細については、国立精神・神経医療研究センター病院 総合てんかんセンターの情報なども参照ください。

国立精神・神経医療研究センター病院 総合てんかんセンター

てんかんの診療施設

てんかんは乳幼児から高齢者まで患者数の多い疾患です。発作が落ち着いていても、薬物治療を長く続ける必要のある患者さんがたくさんいらっしゃいます。てんかんの一般的診療は、小児科や脳神経内科、脳神経外科、精神科で対応しています。

てんかんの20~30%は薬物治療を続けても発作が繰り返しおこってしまう薬剤抵抗性てんかんです。この場合は、てんかんに対する専門的な診療が必要になります。また、てんかんの診断に迷う場合や、精神症状などてんかんの併存症が問題になるときも、専門的な診療が必要になることがあります。

てんかんの診療施設

日本てんかん学会は、てんかん専門医と包括的てんかん専門医療施設を認定しています。

一般社団法人日本てんかん学会

全国てんかんセンター協議会では、各地のてんかんセンターが紹介されています。

全国てんかんセンター協議会(JEPICA)

お住まいの地域にあるてんかん診療が受けられる医療機関については、てんかん支援ネットワークで紹介していますので、ぜひご参照ください。

てんかん支援ネットワーク 関東施設一覧